工学系

電気電子システムコース

量子工学基礎

科目分野 理工学部
選必区分 選必修
担当教員
[ローマ字表記]
敖 金平 [Jimpin Ao]
授業形態 講義

授業の目的

現在生活において人工的に製作された材料を利用していないものはほとんどないといってもよい。また,今後の科学技術の発展のためには,新しい機能性を持った新材料の開発が必要不可欠である。たとえば,世の中に広く使われている半導体デバイスや集積回路の発展も新しい半導体材料の創出の成果である。エレクトロニクスを勉強・理解するため,半導体及び半導体デバイスの理解は必要である。本講義を通じて,半導体材料の性質や半導体デバイスの動作原理を理解するために必要となる半導体内の電子に関する基礎物理概念を修得する。

授業概要

半導体材料の性質や半導体デバイスの動作原理を理解するためには,量子力学的基礎に基づいて半導体内の電子の状態を知ることが不可欠となる。特に固体のエネルギーバンド理論の理解は極めて重要である。本授業では,まず簡単なポテンシャル中での電子の状態をシュレディンガーの波動方程式から導き,量子力学に特徴的な現象について述べる。次いで結晶中で電子のとりうる状態について述べた後,半導体のバンド構造について解説する。さらに,半導体バンド理論を用い,半導体デバイスとしてのダイオード(pnダイオード,ショットキーダイオード,MOSダイオード)及びトランジスタ(バイポーラトランジスタ,電界効果トランジスタ,MOSトランジスタ)の動作原理を解説する。最後に,量子効果の起こるような半導体構造(量子井戸構造,超格子)について講義する。

到達目標


  1. シュレディンガーの波動方程式から簡単なポテンシャル中での電子のふるまいを知ることができる.(授業計画1~4および最終試験)

  2. 結晶内電子のエネルギーバンドの考え方,および状態密度等これに関係する諸概念を理解する.(授業計画5~9および最終試験)

  3. 半導体や基本的な半導体デバイスに関する諸概念を理解する.(授業計画10~12および最終試験)

  4. 量子効果の現れるような構造を理解する.(授業計画13~14および最終試験)

授業計画


  1. 量子力学の基礎

  2. 井戸型ポテンシャル中の電子

  3. 階段状ポテンシャルに入射する電子

  4. トンネル効果・水素原子

  5. 状態密度

  6. フェルミ・ディラックの分布関数

  7. クローニッヒ・ペニーのモデル

  8. 結晶内における電子の運動

  9. 金属,半導体,絶縁体のバンド構造

  10. 真性半導体

  11. 不純物半導体

  12. ダイオード

  13. トランジスタ

  14. 量子井戸構造

  15. 超格子

  16. 最終試験(定期試験)

教科書

電子物性/松澤剛雄,高橋清,斉藤幸喜 共著:森北出版,2010.2, ISBN:9784627772021

キーワード

シュレディンガー方程式, エネルギーバンド, 半導体, 半導体接合,量子井戸構造