工学系

応用化学システムコース

量子化学

科目分野 理工学部
選必区分 選択
担当教員
[ローマ字表記]
吉田 健 [Ken Yoshida]
授業形態 講義

授業の目的

原子に含まれる電子の振る舞いは、電子の存在確率を表す「波動関数」によって表される。また、複数の原子が分子を形成するとき、原子間の結合に関与する電子の振る舞いは、複数の軌道の重ね合わせである「分子軌道」を用いて表される。この授業では、波動関数や分子軌道を用いて原子、分子の性質を記述する方法の基礎を理解する事を目標とする。

授業概要

まず量子力学の基礎、すなわち波動関数の性質、電子の1次元並進運動・閉じこめと3次元への拡張、回転運動などを学ぶ。そして水素原子の波動関数、電子軌道、エネルギーなどについて学んだあと、多電子原子の性質、特に原子番号の増加に伴う性質の変化を、波動関数や軌道に基づき理解する。その後、原子価結合法や分子軌道法に基づき、分子における原子間結合やエネルギー状態を理解していく。

到達目標


  1. 水素型原子における電子軌道とその性質を、各軌道の波動関数によって説明できる。

  2. 多電子原子における電子の性質を、電子軌道に基づいて説明できる。また原子番号の増加に基づく原子の性質の変化(元素の周期律)を、波動関数を用いて説明できる。

  3. 水素、酸素、窒素などの2原子分子に対して、原子間の結合を波動関数、分子軌道に基づいて説明できる。

授業計画


  1. シュレディンガー方程式と波動関数、その解釈

  2. 1次元の並進運動と閉じこめられた粒子

  3. 固有値と固有関数

  4. 2次元及び3次元における並進と閉じこめ、回転

  5. 角運動量とスピン

  6. 水素原子(1):シュレディンガー方程式と動径波動関数

  7. 水素原子(2):様々な軌道と動径波動関数の解

  8. 多電子原子の性質

  9. 周期律、イオン化エネルギーなど

  10. 簡単な二原子分子(水素イオン分子)、原子価結合法と分子軌道法

  11. 水素分子、ヘリウム分子

  12. 共有結合と電子対生成

  13. sp, sp2, sp3混成軌道と2重結合、3重結合

  14. 酸素分子、窒素分子と分子軌道

  15. 結合次数、イオン化傾向と波動関数

  16. 定期試験

教科書

アトキンス物理化学(上) 第10版/Peter Atkins, Julio de Paula著 ; 中野元裕 [ほか] 訳:東京化学同人,2017, ISBN:9784807909087

キーワード

波動関数,水素型原子、多電子原子、分子、分子軌道