物理化学
科目分野 | 理工学部 |
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選必区分 | 必修 |
担当教員 [ローマ字表記] |
岡村 英一 [OKAMURA HIDEKAZU] |
授業形態 | 講義 |
授業の目的
先行科目である物理化学序論や基礎物理化学では、気体や液体などの物質をマクロに(巨視的に)捉える熱力学を学んだ。これに対して本科目では、物質を分子や原子などミクロな(微視的な)単位の集まりとして捉える統計力学の基礎を学ぶ。そして分子や原子のミクロな状態と、マクロな物質の性質とのつながりを理解する。
授業概要
まず多数のミクロな粒子の集団に関して、その性質を確率的な期待値(平均値)の立場から考察する統計力学の考え方を修得する。特に、様々なミクロ状態が現れる確率の和である「分配関数」を計算、利用する事で、エネルギーなどの期待値を計算できる事を理解する。また統計力学的なエントロピーや、自由エネルギーの統計力学的解釈について学ぶ。そして、2準位系やポリマーの問題、分子の振動、回転などの具体例への問題を通して、先行科目「物理化学序論」「基礎物理化学」で学んだ、マクロな熱力学によって得られた結果と、どう対応するのかを理解する。
到達目標
- 分配関数を用いて、2準位粒子、箱に閉じこめられた粒子、調和振動子のエネルギー期待値や比熱などを計算できるようになる。
- エントロピーや自由エネルギーの統計力学的な解釈を説明できるようになる。
- 分子の回転、伸縮運動などを統計力学的に理解し、これらによるエネルギーや比熱を計算できるようになる
授業計画
- 熱力学と統計力学の関係(マクロとミクロの関係
- 分子集団のミクロな配置と重み(ミクロな状態数)
- ボルツマン分布と分配関数
- 箱に閉じこめられた粒子の分配関数とエネルギー
- 2準位系の統計力学
- 2準位粒子の実例1:磁場下の磁気モーメント、水素原子の核磁気共鳴(NMR)
- 2準位粒子の実例2:ポリマーの折りたたみ状態
- 中間試験
- 2準位粒子の例3:化学平衡の統計力学
- 統計力学的なエントロピー(S=k log? Wとその応用)
- 混合のエントロピーと情報エントロピー
- 自由エネルギーの統計力学的意味と表現
- 調和振動子とそのエネルギー、比熱
- 分子振動とそのエネルギー・比熱、室温の空気の比熱に分子振動が寄与しない理由
- 分子回転とそのエネルギー、比熱、CO2の振動・回転スペクトル
- 期末試験
キーワード
ミクロな状態、分配関数、統計力学的エントロピー